PTAへ加入するかどうかは自由です=脱退も自由です

PTAは法律上は「権利能力なき社団」と位置付けられます。これは、一般的に「任意団体」と呼ばれるものです。

一般の保護者の中には、「PTAは学校組織の一部門ではないか」や「PTAは行政の一部ではないか」と誤解している人がいます。しかし、PTAは民間団体(任意団体)であり、団体の法的性質はサークルや同好会と同じです。つまり、PTAは行政の一部でもなければ、学校の一部でもありません。

したがって、PTAは学校とは別組織です。保護者と先生が集まって作った民間の任意団体なのです。

なお、PTAという団体の構成員(会員)は「保護者」と「教員」です。児童や生徒はPTAの構成員(会員)ではないので注意が必要です。

※PTAの法的性質について詳しくは、PTAの法的根拠や法的性質とは?行政書士が解説しますを御覧ください。

PTAは加入も脱会も自由

以上より、PTAと学校は別組織なので、学校に在籍していることとPTAに加入することは別問題です。PTAの活動に賛同し、活動に参加しようと考える人が入会するものです。

そのため、PTAへ入るためには「入会手続き」が必須となります。これは、スポーツのクラブチームやスクールへ入るためには「入会手続き」が必要であるのと同じです。すなわち、PTA加入を強制することはできません。

なお、一部の裁判例ではPTA入会申込書の提出がなくともPTA入会手続きが完了している(PTA会員になる)と判示しているため、PTA入会手続きが不要であるとの誤解もあるようです。しかし、そのような理解は裁判所の判事内容を正確に理解していません。
熊本地方裁判所平成28年2月25日判決において、PTA入会について裁判所は「原告と被告との間で入会についての黙示的な申込みと承諾の合致があったものと認められる」と判示しています。すなわち、本件ではPTA入会申込書提出のプロセスはなかったものの、それに代替する行為があったため「黙示的な申込みと承諾の合致」を認定しています。
参照:熊本PTA裁判

したがって、PTA入会手続きとは「PTA入会申込書」の提出にとどまらず、PTA会費の自動引き落とし申込用紙に記名捺印するする行為などPTA入会の意思が間接的に表示される行為を含みます。

一方で、一度はPTAの活動に賛同して入会したものの、やはり活動をやめたいと思い「脱退する」のも自由です。PTAには、入会の自由があれば脱退の自由もあるのです。PTA脱退を禁止することはできません。

この点について、一部のPTAでは「入会手続き」を経ずに事実上強制的に入会させている例もあるようですが、そのようなPTAは違法です。強制的に入会させて、退会したい会員の脱退を禁止するようなPTAが違法であることは言うまでもありません。

PTAは任意団体なので部外者と構成員は区別される

先に解説したとおり、PTAは任意団体です。希望する人だけが加入するものです。

一般的に、PTA加入者(PTA会員)は一定額の会費を払います。これがPTAの活動資金となります。

この点について、会費を支払っている構成員である「PTA会員」と、未加入や脱退によってPTAの構成員ではなく会費を払っていない「PTA非会員」は、PTA活動において区別されるのは当然です。ただし、この「会員」や「非会員」は児童の保護者や教員を指します。

会員児童と非会員児童を区別するのはNG

前述の通り、任意団体であるPTAの「会員」と「非会員」の扱いを区別することは法的に問題ありません。しかし、PTA構成員と無関係な「児童」「生徒」については区別することは許されません。

すなわち、PTA会員家庭の児童・生徒とPTA非会員家庭の児童・生徒を区別し、会員の子どもはPTA行事に参加可能であるが非会員の子どもはPTA行事に参加不可という扱いは違法です。

PTAは児童・生徒の福祉向上を目的として活動している団体であり、その活動対象となる児童・生徒は当該学校に通学している全ての児童・生徒です。したがって、保護者が会員であるか否かによって児童・生徒の扱いに差をつけることは許されません。

会費支払を強制したら恐喝罪

PTA会費が払わないと不利益があると言われ、怖くなって会費を払わされた場合には、「恐喝罪」(刑法249条)が成立する可能性があります。

前述の通り、PTAには加入の義務がありません。そして、PTA会費とはPTAに入会した会員に対して支払い義務が生じるものです。したがって、PTAには加入義務もなければ、加入したくない人への会費支払い義務もありません。

嫌がる保護者を無理やりPTAに入会させ、無理やりPTA会費を払わせる(徴収する)と犯罪になります。
例えば、PTA入会義務があると虚偽の説明をしてPTA加入を強制し、さらに「会費を支払わないと子どもが行事に参加できず不利益を受ける」や「会費を払わないと地域から排除される」などと告知して無理やり会費を支払わせる場合には恐喝罪が成立します。

刑法第249条(恐喝)

  1. 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
  2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝罪は以下の要件で成立します(構成要件)。

  1. 被害者(会員)が恐怖を感じる程度の脅迫または暴行を加えて会費支払を要求すること(恐喝行為)
  2. 1の恐喝行為により被害者(会員)が恐怖を感じること
  3. 被害者(会員)が自分自身の意思により、会費を支払うこと(処分行為)
  4. 3で支払われた会費が、PTAまたは第三者に移転すること

なお、PTAはPTA会員に対してい会費に関する債権を有しており、かかる債権の取り立てであれば恐喝罪が成立しないと主張する自称「法律に詳しい」PTA役員の見解もあるようです。

しかし、最高裁判所は「債権取立のために執つた手段が、権利行使の方法として社会通念上一般に許容すべきものと認められる程度を逸脱した恐喝手段である場合には、債権額のいかんにかかわらず、右手段により債務者から交付を受けた金員の全額につき恐喝罪が成立する」と判示しています(最高裁判所昭和30年10月14日)。
この判例を前提にすれば、被害者(PTA会員)が恐怖を感じるような方法でPTA会費を取り立てることは社会通念上一般に許容されているとはいえず、恐喝罪は成立すると考えられます。

場合によってはPTA役員が犯罪者になるケースもありますので、PTA会費の取り立ては社会通念上一般に許容される方法で実施することが大切です。

役員就任を強制したら強要罪

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